ヨーロッパで土壌分析は税金の事

ヨーロッパで土壌分析は税金の事

 土壌分析は第三者に依頼するのが普通である。その分析結果を見て、生産者はどう判断しているのだろうか。何か成分が不足している。だから、何かを入れなくてはという資料にする。そして何かを投入した結果、どうなったのか、いいのか、悪いのかよくわからない。しかも、分析にお金も手間もかけているのである。
前回は自分で簡単にできる土壌分析の方法を紹介した。第三者に依頼して、むずかしい数字とにらめっこするよりも、余程わかりやすいと思う。

 日本ではこういう土壌分析の方法は習慣化していない。しかし、ヨーロッパでは主流なのである。理由は税金の元になっているからである。固定資産税の地租を決めるのに、良い土壌にはたくさんの税金をかける。悪い土壌には少ない税金。税金の額は土を掘って決める。これが公平なのである。日本のように面積に一律で税金をかけるのは公平ではない。だから日本は土壌に対する考えが、掘らないで、与えることが主流なのである。
土を掘ってみると有益な情報がたくさん得られる。土壌分析ではわからない生きた情報がある。自分の目で見て確かめているわけだから、これ以上に有益なものはないと言ってもいいのである。  

鉢の大きさがわかる方法

 土の掘り方は前回に紹介した。50cm四方で人の手で掘れるだけ掘る。スコップと移植ベラとメジャーがあればすぐにできる。前回の土壌分析方法の中で特に注意してほしいのは「臭い」である。掘った瞬間がいい。すぐに鼻を近づけてみる。漬物のようなカビの香りがしたら生物性が良いと考えられる。つまり、微生物がたくさんいるという事である。腐敗臭やアンモニア臭がするとしたら、問題ありである。それから、臭いがしない土もある。3種類に分類できる。この臭いの確認だけは、掘った時にすぐやってほしいのである。

 次に「硬さ」である。表面からどれくらいで硬くなるか。前回も話をしたが、これを有効土層という。人差し指で土の断面を押していく。そうすると急に硬くなる所が出てくる。この境目を見つけるのである。

 やわらかい部分と硬い部分の境目は、表面から何mのところにあるだろうか。普通の生産者は10cm〜15cmである。ロータリー耕しか入らない天井の低いハウスは5cmだったりする。これはどういう事なのか。実は「鉢の大きさ」と考えてほしいのである。5cmだと10アールで5tの鉢。10cmだと 10tの鉢。15cmだと15tの鉢。20cm珊だと20tの大きさの鉢。もちろん鉢の大きい方がよく収穫できる。小さいと収量は望めない。  

有効土層をしっかり見極めよう

 ヨーロッパの地租は有効土層で決まる。有効土層が深ければ、収量が出るはずであると考えられるのである。
 鉢の大きさは小さい方がいいのか大きい方がいいのかと問われれば、大きいほうが良いにきまっている。大きくする方法は簡単である。サブソイラーで深度破砕する。プラグ耕で砕く。ハローで細度に砕く。三段階に分けて土壌を掘る。確実に鉢は大きくなる。
 小さくなってしまう理由も説明しよう。ロータリー耕が原因の8割である。タイヤの接地圧が1・5割である。つまり、ロータリー耕がほとんどの原因と言ってもいい。なぜかも説明しておく。ロータリーは表面だけを破細するように作られている。硬い部分にあたると、はね返される。これを繰り返すと、鉢はどんどん小さくなる。収量は少なくなる。

 次に湧水。これも土壌断面分析でわかる。湧水があると湿害がでる。どうもこの所だけ、 生育が思わしくない。そう感じたら、年2回ぐらい土を掘ってみる。盛夏期と初冬期ぐらいがいい。土を掘ってみると、湧水があるかないかがわかる。湧水がある場合は湿害がでないように排水対策をする。これでほ場は大幅に改善される。土壌病害も防ぐことができる。

 三番目は土壌分析のサンプルの取り方。土壌分析する土の、正しい摂取方法というのがある。四角に掘り出した土層の硬い部分とやわらかい部分の境目にスコップをさし込む。スコップの上の土、つまりやわらかい土を取る。さらにスコップの下の硬い部分の土を取る。サンプルを取る量は卵二つ分くらいである。この程度で十分に分析できる。

 なぜ、上下二層を分析するのか。やわらかい土は人間が手を加えた部分である。つまり手塩にかけて作った土壌である。硬い部分は手つかずのままの土壌である。もともとの土の性質がわかる。これを比較すると、やわらかい部分、手をかけた土がいい土壌になっているかどうかが一目でわかるという事になる。

 土層の断面分析で特に注意してほしいポイントがある。古い根が必ず残っている。古い根がどこまで伸びているかを計測してほしいのである。一番、根が深く張っている所は表面から何mの所か。深ければ深いほどいい。根の太さにも注目してほしい。小さな、細かい、細い根がある程いい土壌という事になる。細かい根が少ししか見当たらないとすれば、根の張りはよくないという事になる。

 土壌断面の分析は是非やってもらいたい。お金がかからず、すぐに必要な情報が手に入る。自分の土壌だけではなく、仲間の土壌とも比較してみるといい。互いに協力しあうのも方法だと思う。土層断面表を見ながら分析してみると、貴重な情報が手に入る。これを元にすばらしい生産物が収穫できることを祈っている。





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