豊作を約束してくれる微生物
豊作を約束してくれる微生物
根毛の水分補給をしてくれるVA菌根
農業生産者にとって、もっとも大切なのは、微生物である。窒素、リン酸、カリではない。これは自然の野山を見ればよくわかる。
もっとも大切なはずの微生物が、実に粗末に扱われているのである。研究する人は、まずいない。微生物が発生する土壌については、研究されても、微生物そのものは研究されない。理屈は簡単。環境の中にある微生物が、多すぎるのである。特定できない。動き回るので、固定していない。研究の対象にならないのである。これを人間の話と比較すると分かりやすい。人間は固定されている。菌の種類も少ない。特定できる。例えば結核菌、大腸菌とかである。菌が特定されれば、狙い打ちできる。問題は解決されやすい。
ところが農業で、微生物は大切であると分かっていても、誰も手をつけない。学者だけでなく行政も同じである。みんな逃げ腰である。その指導が、そのまま生産者に行くから、ほ場が変になる。病害が出る。作物が取れない事になる。生産者は、このあたりの事をよく理解しないといけないのである。学者や行政に従事している人は、国から給料をもらっている。生産者から給料をもらっているわけではないのである。
極端な事を言うと、生産者の事情は、何にも考えなくていいのである。こういう関係の中で、重要なアドバイスはしてくれるのだろうか。期待するほうが無理というしかない。
私は、土壌学をやりながら、農業コンサルタントという、あまり聞いた事のない仕事をしている。収入も生産者から得ている。生産者が、利益を出してくれないと困るのである。この立場から微生物について話をしようと思う。
微生物について、具体的に書くというのは非常にめずらしい事だと思う。とまどいもあるかもしれないが、大切な話なのでよく聞いて欲しい。この話は三回連続で行う予定である。今回は、「VA菌根」についてである。
VA菌根とは、根毛の周辺に生息している。ふわふわしていて、カビのような菌糸を持った微生物である。植物の根毛と共生している。この働きがとてつもなく凄い。土の中にある成分を、植物が必要としていたとする。VA菌根は、植物の変わりに土の中から、その成分を取り出す事ができるのである。
(1)VA薗根はリン酸補給ができる
土の中にあるリン酸分を吸収してくる。根毛と共生しているので、VA菌根が集めてきたリン酸分を根毛から吸収できる。しかし、このVA菌根は、ストレスに弱い。過剰にリン酸があると、働く必要がなくなるので、すぐに消滅してしまう、
(2)微量要素の吸収を助けてくれる
亜鉛・胴・マンガン・鉄などの微量要素を、土の中から吸収して、植物の根毛に補給する働きがある。
(3)毒性物貫を軽くしてくれる
これは、有益微生物に共通した働きである。VA菌根の液化酵素で、毒性物質が変化するのである。
(4)水分の吸収を手伝ってくれる
VA菌根の菌糸は、根毛よりさらに細い。根毛が入っていけないところに入っていって、水分を集めてくれる。根毛が乾燥するのを防いでくれるのである。VA菌根が多いと乾燥しずらくなるのである。
(5)病害に対ずる抵抗性が強くなる
植物が強くなるわけだから、抵抗性も免疫性も出てくる。収量に直結するというわけである。
以上が、VA菌根の主な働きである。すごいとは思いませんか。これだけ働いてくれるVA菌根を大切にしたら、どれだけ栽培が楽になるだろうか。
VA菌根は、どれだけの助けがあるのかを示す数字がある。水耕栽培の根毛は養分を15%までしか吸収できない。普通のほ場では60%まで養分を吸収できる。VA菌根が豊富なほ場では、85%まで吸収できる。土壌改良をする場合、ここに焦点をあてて改良すると、効果が出やすいという事になる。VA菌根がいるかいないかでは、大変な違いが出てくるのである。
VA菌根はどういう所に生息しているのだろうか。それは広葉樹とか雑木林の土に多く生息している。松や杉ではダメである。腐葉土がいいわけは、ここにあるのである。どれくらいのVA菌根がいるかというと500CCに100数個いる。家庭菜園では30個5100個。では、大規模生産団地でどうかというと、限りなくOに近い。家庭菜園の土よりも劣るというわけである。微生物を大切にしない結果、とんでもない損失をしている事になる。
VA菌根は、第二の根毛と言ってもいい。根毛周辺に生息し、そこから7?−8?も菌糸がのびる。これはどういう事か。土の中の養分を吸収する力が7倍〜8倍になったという事である。これは、今まで誰も言ってないことである。始めて公表される事である。
VA菌根を増やすには、どうすれば良いか。腐葉土を入れる。玄米アミノ酸の米ぬかボカシを入れる。リン酸系肥料は控える。土壌消毒を控える。これによって、VA菌根を保護できる。
微生物がどれだけ大切なものか。多くの生産者は理解してない。残念に思う。そこで私は、生産者とともに微生物開発をしていきたいと考えている。システムや制度は検討中であるが、もっとも有効な活用法や、生息状況の確認などができるような事を考えている。まとまったらお伝えしようと思う。次回も微生物についてお話を予定している。楽しみにして下さい。
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メールありがとうございます
生徒さんがぼかしの作り方や使い方を覚えたら、
すばらしい技術になりますね。楽しみです。