土って何だろう2

土って何だろう2

 農業にとって「土」はいのちのそのものである。全てはここから生まれてくる。土はこれほど重要であるにもかかわらず土を知っている人は少ない。自分の土がどういう性質のものであるのか、それはどんな問題があるのか、それに対してどのように解決すればいいのか。土を知るということは、農業の基本を知るとイコールなのである。基本は応用を作っていくことができる。基本を知らなげれば応用はできない。

 土壌病害の悩みを抱えている人は多いと思う。病気が出てくるとその病気をなくす為に薬剤を使う。薬剤を使いつづけると酸性になる。そうすると苦土石灰でペーハーをあげる。これは対処療法という。病気はこれで抑えることはできても土はよくなっていない。元気のない状態のままである。この状態で作物はたくさんとれるだろうか。作物の収量をあげるにはそのものを元気にしていかなくてはいけないのである。そのためには自分の土の性質を知らなくてはいけないという事になる。

 土には黒い土、赤い土、粘土の白い土、砂の混じった土といろいろな性質の土がある。それぞれの土に長所があり欠点がある。人間的に言うと土はそれぞれに持病を持っていると言う事になる。持病だから、つきあい方というのがある。このつきあい方を知ると非常に便利なのである。土の改良の方法を知ることができる。土の改良の限界を知ることができるのである。つまりこの土はどれだけのエネルギーがあって、どの作物を植えたらどれくらいの収量になるか最初から答えが出る。これは農産物を育成する為に大事な条件になる。

土ができるまで

 これを知る為にまず土ができる過程を考えてみよう。土は岩石から長い時間をかけて作られる。岩石は無機物である。生物はほとんど住めない。この岩石は太陽に照らされ熱くなり、冷たい雨風にさらされて冷える。ごくわずかだが伸び縮みしていくうちにひびわれができる。そこに水がたまる。その水には岩石から溶け出したミネラル分が含まれる。岩石のスープである。これが土を作っていく元になる。これを何回もくり返すと岩石の表面はザラザラになって角がまるくなり風化が始まる。そしてこの岩石のスープの中に命が誕生する。アメーバ−のような原生動物である。さらに長い時間がたつ。そうすると苔の仲間が岩石に育つようななる。この苔は光合成をする。有機物の誕生である。最初は無機物だった岩石から有機物ができたのである。この有機物を食材にしてたくさん微生物が繁殖する。微生物は短期間に死ぬ。この死骸が豊かな栄養をつくり出
す。さらに微生物が繁殖する。これをくり返しているうちに大きな生物をはぐくむようになる。つまりミミズのような原生動物である。

植物が育つということ

 岩石に生まれたさまざまな動植物は岩石に含まれる栄養分をさらにほしがる。そのために行動をとる。岩石はますます風化していく。やがて岩石は土に変化していく。動植物の大繁殖によって土は作られていくのである。その意味で岩石を母岩というのである。

 生物が誕生する、植物が育つ、というのはこの大自然の営みが大根本になっている。岩石の状態では大変な長い時間かけないと生命は育たないが、土に変化すると、その時聞は驚くほど短縮される。
しかし基本的なサイクルはまったく変化していない。同じ事を反復しているのである。これ以外に作物が育つという方法はない。山野に育つ大木や豊かな緑の原野はすべてこの営みから誕生している。木々の種類はたくさんあるけれども育つ原理はひとつなのである。土とは何かを頭の中ではなく、体で覚えこむと、自由自在に使えるという事になる。

 病害虫がはびこる土壌になるか、豊かな生活をささえてくれる土壌になるか、そのヒントはすべて土にある。自然の原理をいかした農業は大きなメリットが生まれるという事にある。基本というのは考えている以上に大切なヒントを与えてくれる。「土」は天恵の土である。次回をお楽しみに!





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