山口県小野田市 三隅忠典さん
山口県小野田市 三隅忠典さん
“エコやまぐち農産物100”(農薬の使用0%)の認証をうけることができました。
蝉の鳴き声も静まり、やっと涼しくなりはじめた。薄暗いハウスの中。ゆっくりと、じっくり、1房、1房、確認して回るひとりの男。30年間。毎日毎日。その男は、汗と土にまみれて、無農薬無化学肥料栽培のブドウ作りに、この時間を費やしていた。「やっとここまで来ました。今年は生育が非常にいい。病気が皆無です。虫の発生も殆どありません。」 無農薬無化学肥料のブドウ栽培。三隅忠典さん。53歳。この栽培を目指して、30年。農業に携わるものなら誰もがあこがれる無農薬無化学肥料という夢を叶えた。 朝5時。朝1番の仕事。まだ眠い。ハウスの窓を開け、一回り。ブドウの様子をと見てまわる。 「農家としては決して早いとは言えないかもしれませんね。でも、この時間でも、けっこうたいへんなんです。」 兼業農家である三隅さん。午前8時からはサラリーマンの顔になる。しかし、仕事中でも気になるのは、ブドウのこと。 「平日の朝夕。土日と年休の取れた日中。この時間しか、ブドウの生育状況を観察できない。ほんと心配です。」 山口県宇部市。近年、団地・大型店舗のオープンラッシュが続いている。 田畑を見つけることのほうが難しくなってきた。古くは石炭の町。現在ではさまざまな企業が集まり、工業都市のイメージがすっかり定着している。 この宇部市とその隣の市、山陽小野田市。この境界に三隅さんの農園「亀の甲農園」はある。周囲は山に囲まれとても農業をするには恵まれている。一番の特色は、周囲に農業をされていられる方がいないこと。周辺からの農薬の飛散、汚染はまったくない。無農薬栽培にとってもってこいの環境と言える。 なぜ、農業者が全くいない地域なのだろうか 「もともと地元の農家の出です。それが昭和40年代の宅地開発で田が住宅地区になり、業者からの代替地として現在の場所を取得しました。」 ところが、その当時は山だったその土地。都市開発整備計画の中では、第1種低層住宅地域。つまり、住宅以外の建物は法的に建てられない土地だった。 「30年前だったので、そんな知識もありませんでした。ただ交換できる士地があればいいという軽い気持ちでしたから。」交換した土地に、農業用の倉庫を建て、無農薬無化学肥斜のブドウ用の大型ハウスを建てた。さあこれからというとき、県の士木担当者の突然の来訪。ハウスの中にズカズカと。「この区域では住宅以外は建てられない規則になっています。つまり、倉庫や農業用ハウスの建設は許可できません」との指摘。そして指導書が。「もう目の前が真っ暗になりました。もうダメかと。ほんと、しんどかった。」あきらめず、再々県士木の担当者に足を運び、「隣接者から苦情が発生しなけれは、工場ではなく農業として使用するのだから良いだろう」とやっとのことで返事をとりつけた。 もうおわかりだろう。なぜこの地域に農業がないのか。 この地域では、いままでも、そしてこれからも農業をすることが難しい場所。だからこそ、心おきなく無農薬栽培ができる。 スーパーの最上段。これが原点 有機農業を志す多くが、農薬害を体験されたり、自然保護などの理由から近年クローズアップされている。しかし、三隅さんの志は古く長い。 元々農家の出。小さな頃から土とともに育った。お父さんとお母さんがいる畑、これが兄弟の遊び場だった。その大好きだった父が亡くなり、極貧の生活に変貌。小学校1年生のことだった。時が過ぎ、ある時、スーパーの最上段の棚にブドウの1キロ入りの化粧箱が目に飛び込んできた。当然買う事なんてできない。 「非常に高価だったことを覚えています。今でもハッキリと。食べてみたかった。」 子供の頃の畑での楽しい記憶。スーパーの最上段のあの悔しさ。それならと、農業は楽しい、買えないならつくってしまえと決断。さっそく苗を購入して作りはじめる。 単純明快。三隅さんの行動にはいつも迷いがない。しかし、ただ植えただけでは苗は正常に育たなかった。りっぱなブドウの房を口にするまでには4〜5年。さまざまなブドウの栽培書を購入し勉強もした。いろんなやり方も試してみた。 けれども、納得がいかない。当時の栽培方法では年に30回以上の農薬散布をするのが、一船的な方法。 「殆どの作物はこのように農薬漬けになっており、このままこのような作物を食ぺ続けると大変なことになると実感していました。これではまずい。自分が作る作物だけでも無農薬無化学肥桝で栽培できないだろうかと。」 この疑問が三隅さんの無農薬無化学栽培への源点。 10年かけて作った1.5mの堆肥層が完成。すぐに葡萄の苗を植える。これまで色々構想してきたハウスの鉄骨を組み上げ、翌年の5月、屋根に硬質フィルムを張った。その7月には周囲に防虫ネットを張り終える。 さらに良い葡萄をと、試行錯誤を繰り返しながら。 だだのブドウから「無農薬・無化学肥料栽培」へ そして昨年。山口県認定のエコ農産物でブドウの“エコ100”(化学農薬の使用0%)の1次審査をパス。続けて2次審査。様々な問題もありましたけど、無事審査をパス。ついにブドウで、“エコやまぐち農産物100”(農薬の使用0%)圃場の認証をうける。このとき農薬もさることながら化学肥料も6〜8年前より使用していない。 「事務局に問い合わせたところ、全国的には無農薬・無化学肥料で栽培したエコ100と同様な認証を取得したところは聞いたことがないとのことです。」 もちろん、今年も再度取得済みだ。 化学農薬の使用0% 化学肥料の使用0%の結果 今年のぶどうの生育が非常に順調。病気は皆無。害虫の発生が殆どない。 「自分で言うのもなんですが、いままでで最高のぶどうができました。」 もともと作物は微生物が育てるとい考えに大変興味があった。 玄米アミノ酸を使用する数年前よりEM関連資材を使用していた。 「茅、枯れ草、落ち葉と土との間には、たくさんの微小昆虫が棲んでいる。その微生物の活動から微小昆虫のエサが豊富に生まれ、だんだん土が団粒化していく。このカタチがほしかったんです。いまでは散水した水の吸収がとてもいいですよ。」 これから「私の周囲にも、多くのアレルギーの方がおられます。農薬の蓄積が原因の一部ではないかと。だから、いまはブドウですが、将来は日頃から食ぺる野菜までやりたいと考えています。」 いろいろな作物にチャレンジして有機JASの取得を目指し、地域の皆様と共に活動の輪を広げ障害者の働く場を提供したい。と今後を語った。 |
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蝉の鳴き声も静まり、やっと涼しくなりはじめた。薄暗いハウスの中。ゆっくりと、じっくり、1房、1房、確認して回るひとりの男。30年間。毎日毎日。その男は、汗と土にまみれて、無農薬無化学肥料栽培のブドウ作りに、この時間を費やしていた。
「30年前だったので、そんな知識もありませんでした。ただ交換できる士地があればいいという軽い気持ちでしたから。」
単純明快。三隅さんの行動にはいつも迷いがない。
これから




メールありがとうございます
生徒さんがぼかしの作り方や使い方を覚えたら、
すばらしい技術になりますね。楽しみです。