静岡県静岡市 川口象司さん

玄米アミノ酸  静岡県静岡市 川口象司さん

  使ってから、この根の張りが格段によくなった。













 街の中で農業する人と、山麓の広い土地で農業する人はどちらが有利だろうか。街の中で農業する人は面積が狭い。その反面、消費地は近く消費者もたくさんいる。山麓で農業する人は消費地と消費者が遠い。どちらも一長一短であるように見える。どちらがいいとも言えない。面白いことにこの両者の間には情報交換ははとんどない。街の人は、街の人にしか仲間がいない。山の人には山の人しか友人がいない。





 この両者がやっている農業には大きな違いがある。街の中で農業するには山麓のようなやり方は最初から出来ない。周囲の制約が多いからである。一般住宅がすぐ近くにあり、自動車の通りも多い。近所といっても消費者であり、生活者である。農業に対する視線は厳しい。消毒、肥料などすべてについて監視の目が光っている。大雑把な慣行農業は最初から出来ないのである。





 山麓で農業する人は収量を中心に大規模生産団地を形成できるとは大違いである。制約や困難が大きくなればなるほど人間は工夫をする。進歩する。そして進化を始める。だから街で農業している生産者に学ぶ事は多いはずである。





 これからご紹介するAさんと川口さんは静岡県静岡市三保でトマト栽培をしている方である。三保は天女の羽衣の松で有名な所である。造船所が多くほとんどが市街化されている。静岡から清水へ国道150号線が走っている所でイチゴハウスが見られるが、三保半島に入ると住宅ばかりで農地はほとんど見えない。





周辺住民とのトラブル解消は自然素材




 川口さんはトマト栽培を始めて30年になる。まだ子供が幼く保育所に通っていた頃、保育所の網戸がハエで真っ黒になった。農家が使う有機肥料が原因である。有機肥料には窒素分が多いので、それが腐ると蛆がわきハエになる。清水では対策に困ってハエの出ない肥料を使うように補助金を出したのである。





 三保近辺で使う農業用水は生活用水と混在している。街の中だから農業用水だけ特別に設置しているわけにいかないのである。P.Hは何と7を超えている。アルカリ水になっているからいいと思われるかもしれないがそうではないのである。農業生産に使う石灰が地下水にしみこんでP.Hを上昇させているのである。酸性化が心配なのではなく、アルカリ化が心配なのである。土壌がアルカリ化すると作物は作りにくくなる。酸性の方がまだ作りやすいのである。





 余談であるが日本の地下水に染み込んだ肥料成分はとんでもない量であるらしい。お茶畑の近くでは地下水を散水するだけで肥料がなくとも作物が取れると冗談でいわれている位である。





 土壌消毒も厳しい。農薬による土壌消毒はできない状況にある。禁止されているわけではない。周囲の住民からすぐに保健所に通報される。保健所からはできたら使わないように指導を受ける。それじゃあ病害が出たときに補償してくれるのかという事になる。もちろん補償はない。こういう中で農業生産をするには工夫に工夫を重ねないといけない。何かいい資材はないものだろうかと常に追求する事になる。





 Aさんが玄米アミノ酸に出会ったのが3年前である。農業新聞に出た記事が目に止まった。と言っても山麗で農業をしている人とは事情が違う。すぐに試験実行である。使えるかどうかは自分で確かめてみる。記事の信用性はそれからでいいのである。玄米アミノ酸を使ってみようという気になったのは、自然資材の安全性が第一である。





 Aさんが作っているトマトはFS45という特殊な品種である。どんぐりを大きくしたような楕円型をしている。実は通常のトマトより締まっている。このトマトは契約栽培なのである。横浜の市場に送られる。原産は台湾である。街の中で農業するには、販売にも工夫が必要なのである。



米ぬかぼかしの効力に活路をひらく



 川口さんはAさんから玄米アミノ酸 粉体を紹介された。それまではうずらの醗酵肥料を使っていたが、うずらは地にすき込めば心配ないがハエが出るおそれがあり、禁止されてしまった。どうにかならないだろうかと思っていた。昔からの友人であるAさんに相談をしてみたら、意外な答えが返ってきた。肥料なしでトマトを作っているというのである。よく聞いてみると米ぬかのボカシをやっているというのである。早速情報誌の資料をもらって目を通してみた。Aさんがやってうまくいっているのだから問題がないだろうと取り組みを始めたのである。





  川口さんは中玉のトマトが主力であるが連作ではなく、枝豆との輪作である。輪作にすると病気も少なく、土壌の痛みが少ない。吸収される養分のバランスがよく、残存の肥料が腐敗する心配がないということである。これは消費地が近いという条件を有効活用している。





 販売は大手スーパーとの契約栽培が大半である。トマトも枝豆も重要な商品である。それだけに品質には特に厳しい。現在は個選共販だが、将来は個販も考えておられるのである。しかも基準がある。商品の作り方、糖度、光沢、色、一つ一つがチェックされる。この厳しさに耐えないと商品を購入してもらえない。晴れの日が続く時はいいが曇り空が続くと糖度が落ちるので心配である。





 玄米アミノ酸農法に切り替えをして、トマトは第一作目だが良かった事がいくつかある。根の張りがよくなった。根毛がどれくらい出て、根がどれくらい張っているか一目でわかるようにしてある。ほ場の一ヶ所に直径10cm深さ40cmぐらいの穴を掘る。穴を掘る場所はトマトの茎から20cmぐらい離れた所である。穴を掘って土がくずれないように金網で固定している。そこにフタをする。フタを開けば根の張り具合はすぐにわかるという仕組みである。





 玄米アミノ酸ぼかしを使ってから、この根の張りが格段によくなった。細い根毛がよく伸びるようになったのである。しかも深い所までよく伸びている。以前は、発根溶液をたびたび使っていた。葉の大きさも小さくなった。大きい葉はチッソが効きすぎて、葉に養分がいってしまい花芽がつかない。溶液の追肥に比較すれば追肥の回数が大幅に減っている。労働力も軽減されている。何よりも重要なのが経費である。これが大幅に減っている。肥料代、消毒代、除草代、直接的なものも、これに関係する間接的なものもである。品質も大手スーパーから求められる基準を満たしている。

 Aさんが病害で特に効果が出たのがネマトーダである。ネマが出るとやっかいである。次回作への影響も残るからである。ネマについては玄米アミノ酸が効果があったというのである。ネマは土壌病害なので、菌質が変わる事によって改善されたのだと思う。

 トマトの栽培は決して簡単ではない。昨年、産地である熊本が台風と黄化葉巻(オオカハマキ)で全滅に近い状態になった。その結果、大玉トマトが高い価格で取引される事になった。





街の中で工夫している事に学ぶ



 Aさんは肥料を自分で作る。玄米アミノ酸に出会う前から自家配合の肥料を作っていた。他人が作ったものをそのまま、ほ場に投入する事は自殺行為に近いのである。街の中だから肥料にも制約がある。臭いのきついものを使うとすぐに苦情である。だから自分で工夫をするしかない。ミキサーも自分で調達して、自分流のボカシを作る。玄米アミノ酸に出会ってからはこの作業が大変にやりやすくなった。時間もかからずに失敗もない。





 街の中で農業を続けるには人知れず苦労がある。それは山麗の大きい土地でやる人とはまったく違ったものである。もし、山麗で農業をやる人に街の中でやるような細やかな気配りがあったとしたら成功間違いないと思う。学ぶ事は身近にたくさんあると教えられた。

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