耕作放棄地を復元するには莫大な費用と労力・長期間が必要になる!

農業 世界の食糧はひっ迫している。中東のデモも根本原因は食糧である。日本は食糧の輸入国である。これからも、今までのように輸入できる保証はどこにもない。加えて中国やインドが経済発展して大量に食糧を食べ始めた。

食糧不足は深刻な問題になるだろう。



 日本の食糧不足は耕作放棄地を利用すればいいと行政も多くの人達も考えているかもしれない。これが大変な難題に直面してしまっているのである。結論から言うと耕作放棄地を再利用するには、とんでもない莫大な費用と労力、それに時間がかかるということである。冷静になって考えてみるとよくわかることである。



農業 現在、生産している稲田や畑は何年かけて出来たものだろうか。先祖代々、気が遠くなるような手間をかけて出来たものである。一度、休耕して耕作を放棄すれば自然に戻るわけだから0になってしまうのである。「自然だから状態は良いのでないのかい...」自然は人間の都合で作られているわけではない。自然には自然の法則がある。それを長い時間かけて人間の都合が良いように作りかえたのが畑であり、稲田なのだ。「自然にはどんな法則があるっていうの...」まず耕作を放棄すると草だらけになる。最初は背の低い草、次は背の高い草、そして低灌木が自生するようになる。低灌木も幹の細いものから太いものへと成長していく。種類も多種類である。強いものだけが生き残れる。これが自然である。これを農地にするにはまず地上部を刈り取りしなくてはいけない。



 現在は消防法で燃やすわけにもいかない。チップにするが捨て場所に困る。次に根を引き抜く。機械を使っても根は残る。そこから低灌木が力強く自生してくる。チップは捨てる所がないから、その場に捨てたとしよう。そうすると紫モンパ・白モンパの大発生である。肥料が足りないからと言って投入する有機物もモンパのエサになってしまう。そこへ梨や桃を植えても枯れるし、サツマイモ・ジャガ芋・長芋を植えてもモンパにやられて商品にもならない。



農業 水田は水田で、ヨシ・アシ・ワタスゲが出てくる。湿地を好む植物である。これを取り除かなくてはならない。稲よりも背も高く、はるかに強い。取り除く過程で根も残る。刈り粕も残る。そこから、また自生してくる。



 簡単に現在のような稲田の姿にはならない。さらに鳥獣害もひどい。イノシシ・サル・モグラ・鳥、自然界には人間だけが生活をしているわけではない。自然に戻るほど人間以外の生き物にとっても生活しやすくなる。人間には不便になる。



農業 道路や水路などのインフラも悪い所が多い。道路は狭く状態が悪い、大型機械が入れない、水源は確保されていないなどである。



 「よくも悪口ばかり並べられるものだ...」そう思う人もいるかもしれない。耕作を放棄した農地には放棄した理由がある。その理由を勉強してから再利用するならともかく、何も研究も調査もせずに、いきなりという方がほとんどなのである。いきなり取り組みをする人には中小規模の農家や零細な新規就農者が多いのである。



 休耕地の再利用を進める行政はもっとひどい。休耕地にどんな問題があるのか、全く理解していない。補助金が有効に使われることはまずないと言ってもいい。畑地の灌漑には90%もの補助金が出る。「それならただも同然だ」ただほど高いものはないのである。あれこれと条件がつく上に10%の負担は完全に採算割れである。



農業 これらの情報は実際に休耕地の再開発に関係している関先生によるものである。関先生は行政から直接依頼されているものもあるが、多くは行政から補助を受ける民間からの依頼である。地方を再生したい建設業から、業種転換したいレストランの食材を作りたいなど、いろいろな目的で農業を始める会社がある。ある意味で農業はブームになっている。農地はどうするかと言うと、耕作放棄地の再開発なのである。行政も必死である。



 そういう企業があれば一つ返事ですぐに許可が出る。現実は甘くない。いくら補助をもらっても問題は山の如く山積みしているのである。利益が出ている企業なら少し損をした程度で済むかもしれない。新規就農者や小規模経営で生活をかけるとなると悲惨なことになる。生活が出来なくなるだけでなく、財産の全てを失ってしまうことになる。



 すべての耕作放棄地がダメというわけではない。相当の農業技術が要求される。素人や新規就農ではとても無理だということである。もし、どうしてもと言うなら猛勉強をしなくてはならない。苦労と低所得は覚悟の上でやらなくてはならない。この条件をクリアできる人は何人いるだろうか。



 先祖から引き継いだ農地の価値は改めて凄いと思う。一年や二年で作れるものではないのである。食糧不足になると、さらに、その価値は高まっていくと思う。なんとなく農業への憧れや自然への親しみ、ストレス解消など軽い気持ちで耕作放棄地の再開発など高々にやってはいけないのである。


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