肥料は与えて「なんぼー」ではなく呼吸されて「なんぼー」である!
1月は今年の作付けの準備をする月である。いろいろな資材を注文したり、苗床の土を選択したり、苗屋さんに品種の問合せをしたり、忙しい事だろうと思う。
準備をする中で忘れてはいけないことがある。準備の準備である。「なんや、そりゃ、わけがわからないね…」準備の準備とはどういう結果を期待するのかが明確になっているかということである。漠然として昨年もやったから今年もではダメなのである。
準備の準備の中でもっとも大切なのは肥料の効率化である。与えた肥料はいったい土の中でどうなっているかなのである。
「そんなことは植物に聞いてくれよ。わかるわけがないだろう…」それではプロとはいえないのである。農業のコストでもっとも高いのは機械や設備の償却代と肥料である。肥料は毎年使う一番わかりやすい畑への養分である。投資した結果がどうなっているかわからないのでは利益は出しようがないのである。
これは多くの生産者に共通する欠点である。肥料は与えれば仕事がそれで終わりと思っている。与えた通りに植物が呼吸してくれたのなら貧乏な農家なんて一軒もないはずである。ところが現実は逆である。土地を宅地用に転売して大儲けした農家はたくさんいても、生産物、そのもので大儲けをした人なんてもの凄く少数である。
肥料は与えることよりも吸収されているかどうかが重要なのである。もし、与えた肥料が吸収されていないとしたら、それはまったくのムダな経費になってしまう。せっかくかけたお金をドブに捨てているようなものになってしまう。肥料の吸収について、ただひとつだけのことを知っていればすべてが理解できるようになる。「そんな簡単なわけがないだろう。プロが何年かかってもできないことをたったひとつのことで理解できるようになるなんてあり得ない…」信じられないかもしれない。でもたったひとつのことだけなのである。そのひとつのことは「根っこ」が肥料成分を吸収するということなのである。「そんなことは当り前じゃないか。肥料は根っこから吸収するのでなくて、どこから吸収するのか」
「根っこ」の力というのは考えている以上に凄いパワーがある。無機成分だけでなく、有機成分も吸収する。砂や岩に含まれている成分も吸収する。断崖絶壁の岩山に多くの植物や樹が生育をしているのを見ているだろう。自然の中で大木がスクスク育っているのを見ているだろう。どうして、それが可能なのか。すべて「根っこ」の力なのである。あの硬い岩石ですら砕いて養分を吸い取ってしまうのである。
根っこには、こんなに凄い力があるのに、なまけものなのである。養分がたくさんあるとまったく働かなくなる。肥料をたくさん与えるということは「根っこさん、働かなくてもいいですよ」と言っているようなものなのである。
根っこが働いているかどうかは細かい吸収根がどれだけ発達しているかで決まる。これを見分けるのは簡単である。土を掘ってみればいい。マルチなら、マルチを2〜3箇所めくってみて根が上に上がってきているかを確かめて見ればいい。肥料が吸収されているかどうかは根の状態で決まるわけだから、常に吸収根にこだわる必要がある。もちろん記録もする。写真も取る。
病気や害虫にやられたら、すぐに根の状態をチェックする。これを習慣化することなのである。こんな簡単な誰でもできるチェックをやっている人はほとんどいないというのは驚きを通り越して呆れる。
これは永年作物の果樹は特に大切である。吸収根さえ上手に作ることができれば仕事の80%はうまくいったと同じである。果菜類も同じである。ウリ科の植物は光合成が50%なので根は50%になるだろうか。
根っこと砂や岩石の関係と微生物の関係も同じなのである。根っこは生き物である。人間と同じ生命をもっている。人間のように脳も自生意思もないけれど細胞はある。この細胞が自分の生命を維持するために働く。人間のように雑念や打算はない。必要なものを必要なだけ吸収するようにできている。
根っこは微生物が作ってくれる栄養が一度消化された良質な栄養であることを知っている。この良質な栄養をねらって根がのびていく。そして確実に吸収する。
もしも近くに無機の化学肥料がたくさんあったなら根はどうするのか。これをたくさん吸収する。必要以上は吸収しないわけだから微生物が作り出す栄養を吸収することはなくなるのである。
肥料を与えることが大切なのではなく「吸収」に集中してほしいのである。それには植物の根っこのメカニズムがわからないと間違った方法を続けてしまうことになる。植物もダメになり肥料もムダになり収入もなくなる。
これは準備の準備なのである。とくに何をするというわけではないけれども、これを知っていることによって原因の追究ができ、問題を解決できることがたくさんあると思う。
肥料は与えることが重要なのではなく吸収されているかが一番のポイントであることを忘れないでほしい。
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