水を与えすぎると根はおぼれる

水を与えすぎると根はおぼれる

世界中の年平均の雨量は683ミリ。日本列島では、1500〜2000ミリが降る。世界平均の3〜4倍の雨が降るのである。

 梅雨が作物に与える影響は、どんなものだろうか。普段は水を求めて根が伸びる。しかし、雨が降ると水分が足りているので、根は水を求める努力が必要なくなる。それに根を伸ばしてしまうと作物は酸欠状態になって死んでしまう。だから伸ばせないのである。
梅雨があけると一気に温度が上がる。土の中の水分が減り、状況が一変する。急に乾燥した気候になり、根は成長を始めるが、成長が全く追いつかない。根の状態は短く、言うなれば、のっぺらぼうな根である。のっぺらぼうな根は、チッソを吸収する力はあるが、他の成分を吸収する力がない。

 これにより葉のチッソ成分が多い状態になる。チッソ過多になるのである。突然、日が照る状態になると、蒸散により、一日に4回は葉の水分が入れ替わる。それで水不足の状態になってしまう。怠けていた根は水が吸えない。チッソ以外は吸えない根。深い所の水も吸えない根。葉は蒸散で水分を多く消費する。これらにより作物は当然のようにバランスを崩す。

 梅雨明けのときの管理は非常に重要である。これは日本特有の「日本型干ばつ害」である。乾燥地では、このようなかんばつ害は見られない。乾燥地では、環境が一定しているから、植物は水を求めて根を伸ばしていく。根が非常に強い状態なのである。それに植物のバランスを崩すような水のやり方をしない。梅雨が明けて暑くなると、日本の農家は水をかけようとする。それは間違いではない。が、たくさんかけようとするのはいけない。梅雨明けの時の、植物のストレスを繰り返す事になってしまうのである。悪循環になってしまう。

 梅雨明けの時の考え方は、砂漠型の考え方。あくまでも水を節水した方法。ここでの節水というのは水を節約するのではなく、土の中の状態を調べ、考えて、土が余分に水を含まないようにすることだ。土の中に適度の酸素と水を与えるのである。人間で考えてみると、土の中に埋まっている人間がいるとして、何を一番最初に求めるかというと酸素である。水ばかりが周りにあればおぼれてしまう。適度な酸素は必要である。土の中にはすき間があり、そのすき間に空気や水を含んでいる。空気の更新ができるような水の与え方をしなければいけない。

 散水灌漑をして、間を置く。時間的な余裕をつくり、呼吸する時間を与えてやるのである。具体的には10分やって3時間置き、10分やって3時間置くというようにする。余分な水が抜けていく時間が必要なのである。まずは植物の根が呼吸する時間を考える。言い換えれば、水をかける時に時間を空けるのである。土の状態、膨軟性を見て、水はけを見ながら水をやる必要がある。

浸透性を作れば問題は起こらない

 梅雨明けの環境変化により、土中の微生物バランスも悪くなってしまっている。ここで粗悪な堆肥を用いてしまうと、有機物の微分解がおこり、根を傷めてしまう。温度が上がると、たくさんの酸素を消費して、ますます有機物を分解する。そうすると、ますます酸欠状態になる。この時は土の臭いを嗅いでみるとすぐわかる。腐ったような、非常にきつい臭いがする。

 微生物が働かないでバランスを崩すと、カビ・バクテリアなどが原因の問題が起こる。カビは攻撃的に組織を破壊していく。バクテリアは組織が壊れている所から入り込んでくる。しかし、入り込めない状態であれば、カビやバクテリアは関係ない。植物が元気であればいいのである。病原菌に対抗していくためには、今までのように土壌に微生物を増やし、土壌の成分を適正値にしておくこと、植物がよい状態にあれば病原菌は防げるのである。病原菌が入り込めない状態、環境を作っていくのが大事なのである。

 梅雨が明けた時にどんな潅水をするかが重要である。いかに強い根を作るか、ということに視点を置く。酸素の問題、適正な水のやり方、土のやわらかさ、排水などに気を配らないといけない。土が適正な酸素を含む、よい状態を作る。土の縦浸透を作っていくのである。
 梅雨時期に縦浸透ができていれば、問題は起こらない。水の染み込みがあり、水はけがよいと、根は成長していけるのである。根がきちっとはっていれば、非常に強い作物になる。





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