春作の終りにくる自然の法則と夏作の始めにある自然のパターン
三寒四温も寒い日が少なくなり暖かい日が多くなってきた。春作が終盤戦、そして夏作の幕明けである。農業のむずかしいところは前作の影響を引きずることである。
どこで始まり、どこで終わるということがない。常に連続性の中で種をまき、育て、収穫するという作業が続いている。自然は必ずしも人間の都合が良いように展開してくれるとは限らない。都合が悪いこともたくさん発生する。
都合の悪いことが発生した時に原因を究明することは非常に重要なのである。そこには必ず自然の法則が働いている。自然の働きと違うことをやっていれば大きな損失になる。逆に自然の働きに合わせることができれば収益もアップさせることができる。
自然の法則を果菜類で見てみたいと思う。現在は4月であるが少し前を思い出してほしい。イチゴを含めて果菜類は年末によく売れる。この時期に出荷を合わせるために加温をする。加温をするとよく取れて高値の時に出荷できる。そうすると、その反動がくる。2月に「なり疲れ」がきて収量も品質もドンと下がってしまうのである。この現象をロゼット化と呼ぶ。その原因は植物が自分の身を守るために活動を停止してしまうことなのである。春作の大きな落し穴である。誰もが悩んで、あきらめている人が多い。この落とし穴は埋めることができる。
活動が停止してしまう原因は
(1)液肥をやりすぎる、栄養過多。
(2)室内の換気が悪い。
(3)株間が狭すぎて徒長しやすい。
(4)被覆しているビニールが古い。
(5)光が弱い。
以上の5点である。これを改善すれば「なり疲れ」を避けることができる。「なり疲れ」を避けることがなぜ重要なのだろうか。次にくる花芽の分化に大きく影響するからである。花芽の分化がよくなれば根の状態もよくなる。すべてが栽培する人にとって都合のよいように回転してくれるのである。ところがである。「なり疲れ」をそのまま放って置くと回復しないまま終ってしまうことになることもある。回復しても花芽の分化は狂ってしまい、思うように花が咲かなくなる。
もっと具体的に話をしてみよう。4月頃の灌水は何時にやっているか、昼の10時までには終らなくてはいけない。その理由は土の中の温度である。10時までにやれば日中の温度であたためられて温度は下がらない。もし夕方に灌水をしたとしたら逆に土の中の温度を下げてしまう。わかってしまえばそんなことかであるが午前中は収穫に忙しく灌水は夕方という人が多いのは事実なのである。自分で自分の首をしめてしまっているのである。暖房も同じである。夜温と昼温の温度差はある方が植物は元気になる。ところが夜の夜中もずっと暖房を炊いてお金をムダに使ってしまうことがある。温度計を必ず確認してからであるが必要のない時は暖房を炊かなくてもいいのである。
農業は自然が相手だから自然はどのように変化するかをよく知ることが基本中の基本になる。4月になると冬とは違い日照時間が長くなる。日照が長くなれば植物は水の量を多く求めてくるようになる。トマトであれば10アールで1.4tでよかったものが2tに増えてくる。それは何月何日頃というのではなく、毎日の気温を日記につけて、また日の出、日の入も日記につけて、これぐらいになったらと自分の肌で覚えるしかない。
暖かくなれば肥料も要求される。この時期にチッソをやりすぎるとボケる。チッソを控えてカリをやる。その方が生理は順調に育つ。日照が長くなるわけだから換気もマメにする。CO2を取り込むのである。CO2は植物に一番の栄養である。もう一つは結露を防ぐという意味もある。酸素欠乏にしないということである。
肥料については有機肥料の入れすぎには充分な注意が必要である。特に質にはこだわってほしい。完全に醗酵をした有機が必要なのである。未分解のものなら入れない方がいい。水分を抜いただけの鶏糞などもダメである。少なくとも、アンモニアが抜けて悪臭がしない、ガスが完全に燃え切っている必要がある。
質の悪い有機肥料を入れると
(a)土の中で再醗酵して悪玉菌の発生原因になる。
(b)有機肥料の成分が分解して出てこない。
必要な時に必要な成分として使えない危険が出てくるのである。
完熟した有機肥料でも玄米アミノ酸の粉を1%入れて(有機肥料1tに対してアミノ酸粉体10kg)再醗酵させてから投入してほしい。そうすると心配なことは解消される。
春は肥料あたりが発生しやすい。その理由は自然界も暖かくなり肥料成分を出すからである。野山の樹木も芽を出し花を咲かせる。冬に蓄えた肥料が分解して使えるようになるのである。春の肥料は少なめが原則である。玄米アミノ酸ぼかしを10アールに200kg、そして化成肥料をチッソ成分で5kgぐらい入れて元肥にするのがおすすめである。ぼかしによって微生物の量が減らずに済み、土も硬くならない。化成によって初期成育もいい。肥料当りもなくて済む。
最近は気候変動が激しく遅霜が心配される。遅霜は凍傷と同じである。凍った所が朝日に当ると細胞組織が分解してしまう。日当りの良い所ほど要注意である。逆に日影はゆっくり解凍するので遅霜の被害は受けにくい。もう一つ、土が硬くて根が張っていない植物は霜の影響を受けやすい。自然の法則性と原理は同じことのくり返しである。早く身につけた方がいつも勝組みになることは明らかである。




