「切花」研修で息が止まるほど苦しかった土壌消毒が忘れられない

花は食べるものではないから農薬の事をやかましく言われることがない。切花は見た目の美しさが勝負である。施設で栽培している人が大半だから病害虫が出るとアッという間に畑の全部に広がってしまう。農薬のチェックがうるさくないので、つい農薬は多い量を投入してしまう。
害虫は死んでいい花ができるかもしれない。害虫防除をした人の健康問題は深刻になる。農薬によって免疫力はつるべ落しの如く低下するわけだからたまらない。施設園芸の切花生産者はいかに本数が売れるかという収入の問題と自分の健康の心配で板ばさみになっている。
北陸のカーネーション生産者から電話をいただいた。いきなり玄米アミノ酸ぼかしなんて全く効果がないと切り出された。言われた私は一瞬、何を言っているのかと戸惑ってしまった。
よく話を聞いてみると若い時に農薬の研修に行った時、マスクも手袋もせずに土壌消毒をさせられたというのである。息が苦しくて呼吸が出来ない。死ぬのではと思ったほど酷かった。それ以来、なんとか無農薬でカーネーションの栽培ができないかと考えられてきたというのである。いいと思えばいろいろやってきてみたが途中までは何とか持つけれども後半になると病気が出てうまくいかない。玄米アミノ酸も試してはみたが慣行農法と結果は少しも違いが出なかったというのである。
人生の残った時間でどうしても無農薬の花栽培を完成させてみたいという相談だったのである。
「切花」を生産する人は野菜や果樹に比較すると事業意欲が高い。生産者の考え方で高収入が得られる可能性があるからである。坪単価の売上げで4万円、5万円を売り上げる人も珍しくない。施設の野菜では考えられない数字である。もちろん、そのような高収入を得るには積極的に学習する必要がある。高収入を得られる反面リスクもあるからである。
「切花」で無農薬栽培を完成させるには大きな問題が二つある。
?客様から見たら花の無農薬栽培は付加価値にならない。利益増にはならない。
?事業意欲の高い人なわけだから自分の健康問題だけを理由に無農薬栽培の実験にお金と時間を使うことが継続できない。
「切花」を無農薬にすることは簡単かというと大変にむずかしい。なぜむずかしいのか野菜栽培の人でもわかる。すべての作物は栽培でいつ問題が発生するのか。花が咲いた時である。「切花」は花が商品である。簡単ではない。
お金にはならないけれど健康問題はどうでもいいのだろうか。健康なうちはどうでもいいでしょう。病気になるとどうだろうか。取り返しがつかない。病気を抱えて働く苦しさは他のいかなる苦しみよりも強烈に辛い。
自分のいままでやってきたことが何だったのかとすべてが空しくなる。お金なんかいらないから丈夫な体にしてくれ、となるのである。
「切花」の話からはずれているようだが、はずれていない。「切花」は出根させて切り採っていく栽培方法である。栽培方法はむずかしくない。排水を良くして水質管理をしっかりやればいい。むずかしいのは高い商品価値を安定的に維持することである。
この事を逆用するのである。実験用の小さい施設を手造りする。5坪前後で充分である。ここにぼかしを入れる。5坪に10kg程度すきこみする。2ヶ月に1回ずつぼかしを10kg投入する。水管理にはアミノ酸液を2000倍で使用する。農薬も土壌消毒もやらない。害虫にやられたら切る。次の出根を待つ。
そんな事をやって何になるのと思うでしょうか。植物はもともと病気に対して強い免疫力を持っている。消毒とか土壌ペーハーとか原産地の環境の違いで免疫力を失っているだけである。その力を微生物の力で呼び戻すのである。
微生物の力だけで戻るの・・・? 理論的には戻るはずである。出根だからぼかしを使えば、切れば強い芽が出てくるはずである。花の色も明るく形も良く大きさもそろうはずである。長期間ではなく一年ぐらい実験を続けて細かくノートを取れば詳しいことがわかってくる。現在の栽培法にいかせる事も数多く出てくるはずである。
幸いにして出根性だから根が完全にやられない限り実験は継続できる。別棟でというのは他に害を広げないためである。
健康ということを考えてみれば自分の最高に大切な財産である。この財産を守るために少しばかり費用と時間をかけて実験してみることは無駄にはならないと思う。その実験結果を少しずつ本畑に移して低農薬から始めてはどうなのだろうか。
「切花」の無農薬は収益に直結しない。自分の健康のためにやることである。気を長くして楽しみながら現状の栽培にもヒントになるように工夫して継続すると、思わぬひらめきが得られるかもしれない。
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メールありがとうございます
生徒さんがぼかしの作り方や使い方を覚えたら、
すばらしい技術になりますね。楽しみです。