建国わずか20年で農業輸出国になったイスラエルの農業生産

 農業なんて、なんとお金にならない儲からない仕事か、と思っている人が多いと思う。


 多くの国は農業を支えるために補助金を出している。そういう意味からすると利益が出ない仕事かもしれない。世界中でただ1国だけ例外がある、イスラエルである。建国が1950年で歴史の浅い国であるが、建国20年後には農産物の輸出国になった。

そして現在は日本と同じ輸出量がある。日本の農業人口は400 万人、イスラエルは8万人であり、日本の50倍も生産力が高い。イスラエルにとって農業は利益の出るすばらしい仕事なのである。どうして利益の出る仕事にしたかを学習することは大変参考になると思うので取り上げてみた。




 イスラエルは農業に適した国ではない。ほとんどが砂漠である。面積は四国ぐらいだが水源はゴラン高原の近くにある湖、ガリラヤ湖だけである。北部では年間降水量が1200mlほどあるが南部では25mlしかない。アラブ人が作物を育てられずに捨てた土地、それがイスラエルである。この不毛の地をわずか20年で農業の輸出国にしたのである。信じられるでしょうか、不可能を可能にしたのである。農業の歴史始まって以来の大革命・大発明なのである。




 大発明・大革命がなぜ世界的に知られていないのか、それには理由がある。イスラエルの目的は食糧の世界支配なのである。食糧の世界支配って何?でしょうね。世界には年間降水量600mlの広大な土地がある。熱帯の砂漠周辺の土地を想像してもらえばいい。この土地は現在、不毛の地である。しかしイスラエルの技術を使えば豊な作物がいくらでも生産できる豊穣の地になる。イスラエルはこの不毛の地を借りて作物を生産し世界の食糧支配をしようとしているのである。




 最近、NHKで放映されたアマゾン流域の1億エーカーに大豆を植えるプロジェクトにはもちろんイスラエルが関係している。




 「それは凄い話だね。でも私達のような零細な農業者には関係ない話だね。」




 それが分岐点なのである。アラブ人はとてもこの土地では作物が育てられないと大地を捨てた。それをイスラエル人が拾って見事に豊かな農地に変えることができた。




 7月号の激変する稲作でも案内をした、稲田を捨てる農家それを拾って大儲けする農家。どこがどう違うのか、ここがわからないと農業は楽しく魅力あるものにはならない。




 イスラエルはどのようにして農業を成功させたのか。少ない降雨量、少ない水でどのようにすれば作物が育つのかを徹底して研究した。その結果、点滴潅水という方法を発明したのである。これは国家プロジェクトだった。




 砂漠の土に水を与えると浸透していくのが非常に遅いことがわかったのである。スローに水を与えると浸透していき、砂漠の持っている栄養を充分に使いこなすことができるのである。それまでアラブ人はどうやっていたかと言うと砂漠に大量の水を与える。大量に水を与えると砂の持っている栄養が一挙に吐き出る。砂は土と違い豊富な栄養を流失せずに抑えている、その中に塩分がある。塩分が一挙に吹き出て作物がダメになる。アラブ人はこの問題が解決できなかったのである。




 イスラエルには土耕栽培というものがない、すべて施設栽培である。施設栽培をするには理由がある。イスラエルは建国当初から農業を事業として考えている。事業として成立させるには販売を最大の目標にしている。そのためには安定生産が必要である。




もちろん農産物加工場も最初から設備してある、すべて一貫した農業事業システムになっているのである。すべてが用意されてある中で作物が出来なかったでは話にならない。それで施設園芸なのである。




 ここで2つテーマがある。「わたしは土耕だから関係ない。」「施設園芸なんて病害にやられて大変なだけだ・・・。」このように思われる人が多いでしょう。それでは土地を捨てたアラブ人と一緒になってしまうのである。




 世界でもまれに見る豊かな水資源を持つ日本である、しかしこの資源が有効に生かされているとは言い難い。豊かな水にふりまわされているのが現状である。少しもコントロールできていない。大昔とまったく変化なしである。これでは利益の出る農業にはならない。




 日本では施設園芸の病害は悩みの種である。イスラエルでは病害も薬害もない。世界で一番厳しいと言われる残留農薬の基準国であるドイツの法律はすべてパスする栽培をしている。日本では苦労している硝酸態チッソについても0スタート、0エンドが当然の栽培基準になっている。




 「そりゃ、イスラエルは立派な農業国で結構な事ですね。日本じゃ国も農協も何もやってくれない。弱い者をいじめるだけだ・・・。」




 それはわからないでもない。しかし、ちょっと待ってほしい。イスラエルのような凄い農業先進国がある事を知っていた人が何人いたでしょうか。競争相手が隣の農家ではあまりにも視野が狭すぎるのである。そのために革新的な事をやろうとする人がほとんど出ない、改革と声を上げる人もいない。だから農業は事業にもならないし、進歩も遅れるのである。




 このままでいいわけがない。先細りどころではない、他国によって領地支配ではなく食糧支配される危険は大なのである。だからイスラエルのような農業国がある事を知ってほしかったのである。グローバルスタンダートと言われる時代である。視野を世界に向けて学習してみようではありませんか。どんな大きな成功でも、最初はたった一人のすばらしい発想から生まれることは歴史が証明していることである。それにはまず成功者の学習からのスタートである。学習ほど短期間で大きな結果をだすものはないのである。





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